飛行機に乗って海外旅行をするように、宇宙船で旅する“宇宙旅行時代”が間もなく訪れようとしています。ASTRAXに出合い、宇宙を舞台に夢を実現しようとしている人たちは、普段は何をしていて、どのようなことをきっかけに宇宙とかかわるようになったのでしょうか。宇宙に活躍の場を広げようとする“ASTRAXな人たち”をご紹介します。

Episode 14 Visualizer | TETSU-LAWさん

自らの体験を見える形で表現する、Visualizer

人のつながりで映像の仕事に踏み出して
── どのようにして映像の仕事に携わるようになったのですか?

映像主体に仕事をしてはいるのですが、今はカメラマンではなく、Visualizer(ビジュアライザー)と名乗っています。
もともとは表現者でありたいと、人に見られたくて、役者、歌、ダンス、写真、映像など表現することをとにかくいろいろやりました。映像は学ばないとわからないと思ったので三重から東京に出てきました。実は高校生の時に文化祭で映画を作っており、映像には触れていました。高校を卒業して東京に行く前に、まずアメリカに留学しました。東京にぽんと出たら都会過ぎて無茶苦茶遊びそうだったので、その前に留学して全然言葉も通じない場所で自分自身を慣らしたい、違う環境に身を置きたいと考えたんです。1年足らずでしたが、それはとてもよい経験でした。
── 映像を学ぶために東京で学校に入られた?
はい。入ったものの学びたかったことと違っていたので全然行かなくなりました。
その頃は夜な夜なクラブやパーティ、イベントに行き、いろいろな人に出会って話をしました。そこで「実は映像をやっているんですけれど」と名刺を渡し、「じゃあ、何か作ってよ」と言われて引き受けてから、どうやって作るんだろう、と調べて作り、納品して、「いいね」と言われていろんな人にまた呼ばれて映像を作るようになっていました。
ロシアのカザフスタンにロケットの撮影に行くことになったのも、僕がイベントをやっているところに、広告代理店の人が遊びにきて、「面白い人だね」「何かやってみたいね」と言われて映像を作ったのがきっかけです。そのあと、「今度プロモーションの映像を作ってほしいんだけど」と声がかかってプラチナリングのキャンペーン映像を作りました。プラチナリングの購入者の思いをDVDに入れてロシアのソユーズで宇宙ステーションへ、という映像だったんです。
ミクシィが流行り始め、人もソーシャルでつながっていく時代でした。結局最後は人のつながりです。

流れるように人と関わり続け、動き続けて新しいフェーズへ
── ご自身でイベントも企画されているのですか?

開催するイベントはたとえば、映像の人と音楽の人と花火写真家の人で、ひとつのアートワークを映像化して上映します。皆さん飲み物を飲みながら楽しんでください、いろんな方が集まるので、ぜひ名刺もってきてください、というものです。アート系の人から広告系の人、大使館の方まで来られることもあり、普通の交流会というよりは、そこで作品展示があったり、クリエーターがいるイベントです。
ただ自分が前に出がちなんです。イベントの趣旨よりも自分が表に出ることが目的みたいになってしまってちょっと失速しました。皆が来ているのは、アートワークや人と出会いがあるからです。その次のフェーズとして、自分自身がこうありたい、という側(がわ)だけ作って、中身を構築していきたい。僕はちゃんと人に共感されないと死んじゃう。5年ぐらいかけてまた新たな世界に行きたいな、というのはあります。
── その新しい段階というのはどんなものですか?
広告の仕事もしましたが、僕は広告じゃないな、映像を含めて人の生きざまとか教育とかにも携わりたいな、と思っていたらいつしか企業案件がなくなりました。この数年間は民泊やイベントスペースでカフェバーを開いたり、いろんなことをしてきました。映像の仕事が少なくなって、今は民泊も終わり、そのちっちゃなカフェバーを映像配信スタジオに変えているところです。あまり建設的に物事を育んでいくことはせず、映像が軸にはなっているんですけど、来年全然違うことをしているとか、全然違う稼ぎ方をしているとか。僕の中では生きるという中にいろんなことが含まれているので、ずっと同じことをし続けるというのはダメなんですよ。
人間関係も、その時はきゅっとプロジェクトや仕事で一緒になり、仲間であったり友だちであったりするけれども、そこからまた違うところに流れ着いて、違う人たちと出会って、新しい世界を作ろうとする。常に新しい出会いを求め続けている感じです。僕も高速回転して、人を巻き込んでいかないといけないのかもしれません。宇宙関係の人たちとも面白いことをしてみたいですね。

撮るだけじゃない。体験して発信して、そしてシェアしたい
── 宇宙関係の仕事をやってみたいという思いは強いですか?

10年以上前にロシアにロケットの撮影に行き、そのあと民間の成層圏までフライトする宇宙旅行のプロモーション映像を作ったのも、たまたま依頼があったからです。けれども宇宙には興味はあります。未知の体験をするのが好きで、その最たるものが宇宙なので憧れです。ASTRAXの山崎大地さんからの依頼で、無重力空間で水中ドローンを使った映像を撮影しましたが、無重力のふわっとした感覚は何とも言えない体験でした。
あまり宇宙を意識したことはありませんが、宇宙には行きたいです。人の内側にも宇宙はあると思うんです。内側と外側の宇宙があって、内側を探求したら外につながる、外側を探求したら内側につながる。だから宇宙は探求の対象物としてもっと知りたいな、というのはあります。
たとえばNASAのようなところが普通にお金をかけて作る映像ではなくて、TETSU-LAWに体験させたら何か面白いものができるんじゃないか、彼にやらせてみよう、ということで宇宙に行けたらいいなあと思います。

── これからどんな仕事をしていきたいと考えていますか?
未知のものとか実験的なものが好きなので、実験なら自分も一緒に体験しながら撮影するようなものができたらいいと思います。カメラマンとして撮影し、もっと文章力とか発信力をつけて、体験者として自分自身でも語る。僕はやっぱり裏方としてのカメラマンとか映像撮影者というよりも、僕自身が未知なものの体験者として、どういうふうな形を感じるのかを可視化して、Visualizerとして表現したい。カメラマンとか映像ディレクターと名乗っていないのは、僕がいろんなものを体験し、ただ撮るだけではなくて、撮った時に僕がどう感じたのかをシェアしたいと思うからです。そして僕がその時受けたものを、次にいろんなアーティストたちと一緒にアート展など開いて共有したいですね。
プロフィール

TETSU-LAW(テツロウ)
Visualizer(ビジュアライザー)。
2001年映像制作を始める
2012年に映像制作を行う株式会社 TETSU-LAW & Co.を設立。
2018年、ASTRAXによる無重力飛行に参加し、水中ドローンのオペレーション実験を実施。またASTRAX IMAGINE の依頼で、宇宙CAプロモーション映像を撮影・編集。
2019年映像配信スタジオ兼スナック SHIBUYA+BArを渋谷道玄坂で展開中。
http://tetsu-law.jp/
http://shibuya-plusbar.com